最初のシングルが出てから一年以上が経ち、ILLLENIUMの3rdアルバムが遂に発売された。
17のトラックを擁したこのアルバムは、デンバーで活動している彼にとって快挙であり、同時に諸刃の剣を意味している。
他に解釈のしようがない。―Ascendは天才的な作品だ。このアルバムは今までの彼の最高傑作で、彼のアーティストとしての努力が最も注がれたことは間違いない。デビューアルバム『Ashes』では12曲、セカンドアルバム『Awake』では13曲、そこから跳ねて『Ascend』では17曲。ILLENIUMが語りたいことが多くあるということが伺える。
いつものように、ILLENIUMは著名な素晴らしいボーカリストとチームを組んでいる。 Georgia Ku, GOLDN, Oekiin, Bahari, X Ambassadors, Kameron Alexander, Jon Bellion, Bipolar Sunshine, Echosなど様々なボーカルが今作にも登場している。これらすべての人が世界的なスーパースターというわけではないが、ILLENIUMとの共演が彼らのキャリアに今後大きな意味をもたらすに違いない。
アルバムのテーマは、ILLENIUM自身の2つのアルバムを踏襲している。フェニックスがILLENIUMのアルバムのシンボルとなったのと同様に、アルバムの名前も―Ashes,Awake,Ascend―不死鳥の生まれ変わりの道をたどっている。
これは、このアルバムのテーマが元気づけるような、美しいものであることから来ているだろう。曲のうちの多くは、喪失感や悲しみ、ネガティブな感情と闘う曲だ。
最もいい曲のうちの二つは、はじめの曲と、最後から三番目だ。順番に、“Good Things Fall Apart” with Jon Bellion (以下GTFA)と “Gorgeous” with Blanke and Bipolar Sunshine。これらの曲は対極の魅力を持っている。GTFAは純粋なポップスだ。メランコリックな歌詞で美しいほどに勇気づけるような曲だ。「物事がダメでも、悲しむ必要はない、時には良くなるから大丈夫」というメッセージ性がある。一方で、Gorgeousは始まり方がもはや不吉だ。Bipolar Sunshineのボーカルは、暗闇の中、キャンプファイヤーの前に座り込み、勇敢な者たちにストーリーを説いている場面を想像させられる。バックグラウンドでゆっくりと構築されるシンセが、この効果や緊張感、神秘感を最大化させている。ベールがサビで上げられ、テンポが変わってギターが入ってくる。トンネルの終わりに光をみたようなイメージを感じる。そして雫が下からあなたを転ばせ、渦巻くカオスにまた戻る。
このように凝らされたささいな趣向よって、Ascendは何度聞いても楽しめるアルバムになっている。解釈は聞き手の仕事なので、曲の意味を想像しながら聞いてほしい。多くのトラックで、数え切れないほどの解釈がなされている。
さきほど、Ascendを諸刃の剣と述べはしたものの、このアルバムは最高傑作だ。だが、ひとつ生まれる疑問は「ここからILLENIUMはどこに向かうのか?」というものだ。これがILLENIUMのピークとは信じがたい。これが彼のもっとも大きなツアーになることは間違いない。レッドロックで3夜連続、大物アーティストだらけのマディソンスクエアガーデンでもライブをする。今後が楽しみだ。
For now、you can Ascend on your own and listen to Illenium’s new album below.